【台湾サッカー事情】台湾リーグの選手の給料など意外な実情

この記事は約5分で読めます。

親日で日本に一番近い国の台湾でのサッカー事情はどうなっているのでしょうか。台湾人は野球では一流の選手がいるし、バスケットボールでも有名な選手もおり、身長もアジアの中では高い。が、それでも台湾でなぜ有名なサッカー選手が生まれない理由は何だろうか。台湾のサッカー事情を解説していきたい。

台湾人はサッカーに興味がある

写真:2018年ロシアワールドカップ台北スポーツバ

台湾のサッカーはどうなの?と訊くと「台湾人はサッカーは人気じゃない」そんな言葉が台湾人自身からも発せられるでしょう。台湾ではWBCでも強豪の通り、野球が人気である。その次にバスケットボールが人気とされている。

が、実際にはどうなのかというと、長年台湾を関わってきた経験からすると台湾人はサッカーに興味がないわけではない。むしろ、バスケットボールよりサッカーの方が人気である。メッシやロナウドは誰もが知っているし、欧州サッカーファンはそれなりにいるし、学校にはサッカー部がだいたい存在する。スポーツバーでもバスケットボールではなくサッカーばかり流れている。そしてやはりワールドカップではやはり盛り上がる。ほとんどの台湾人が日本代表を応援してくれている印象だ。

現状は苦しい台湾リーグ事情

台湾国内リーグに目を向けてみよう。意外にも台湾のサッカー史は長く地域リーグを含めると3部まであり、2017年にプレミアリーグが設立され現在8チームが存在する。

台湾電力台南市
北市大同台中Futuro
航源FC台湾体大
台湾鋼鉄銘傳大学

AFCに加盟しているため優勝したらACLに出場も可能だ。1部でも8チーム中5チームは大学が母体の大学生チームという状態である。

2021年までにプロ化(プロ化の定義が曖昧ではあったが)を打ち出していた台湾リーグだが、2021年7月現在までも何もアナウンスが無い状況だ。

外国人枠は4+1(アジア人)日本人選手も増える

台湾1部リーグの外国人枠は4人+アジア枠1人。2-3部は保有制限はない。近年日本人選手も増えており、台中をホームとしている台中FUTUROという日本人オーナーのクラブもある。3部のY.S.C.C横浜ゴールキーパーの谷俊勲選手が台湾代表へ選出された。プロ経験がない日本人選手もおり、それぞれ直接チームにコンタクトをとってトライアウト受けて入団している。

台湾リーグが盛り上がらない根本的な理由

写真:航源グラウンドにて@2020

現実問題、台湾サッカーチームのほとんどが企業チームでありスポンサーが付きにくい。観客も来ないので私の知る限りリーグ戦など無料で誰でも観戦できるのが現状だ。無料であるにもかかわらず観客も究極のサポーターである選手の親族や友人など身内ばかりで、野球のように一般客は来ない。だが台湾人選手自体は、技術があったりフィジカルも優れている選手も多い。それにも関わらずなぜ盛り上がらないのだろうか。

給料が少ない

台湾のサッカーチームはほとんどが企業のチームで、スポンサーが付きにくい。台湾リーグ関係者に聞いた限りだと年俸は24万元(95万円)から120万元(480万円)と選手生命が短いスポーツ選手としては非常に低い報酬である。

下記によると1部リーグの給与で月収3万元から10万元となっているが大よそ差はないと思われる。

本土球員則賺到3萬至7萬新台幣

https://tw.news.yahoo.com/%E5%B0%88%E6%AC%84%E5%8F%B0%E7%81%A3%E8%B6%B3%E7%90%83%E5%93%A1%E8%96%AA%E6%B0%B4%E6%AF%94%E4%BD%A0%E6%83%B3%E5%83%8F%E4%B8%AD%E9%AB%98-012438749.html

120万元は外国籍の助っ人選手の報酬なので、ほとんど台湾人選手は企業の一社員としての扱いなので平均的な年収だ。2部3部になるとそもそも手当すらもらっていない選手も多いと思われる。

選手が兼業

台湾の平均年収の中央値47万元(180万円)ほどになるので仮に年俸24万元(95万円)だとまず生活は厳しい。当然兼業なので練習時間が限られサッカーのレベルは上がらないままだ。1部リーグのチームは時間外には企業業務ではなく子供たちにサッカーを教えている事も多いそうだ。

台湾A代表が弱い

写真:2019年ワールドカップアジア予選時

台湾代表はもちろんワールドカップ予選にも出場している。(残念ながらカタールワールドカップは予選で最下位敗退)チャイニーズ台北という名称といった方が聞き覚えがある人が多いのではないだろうか。実力というと最近の試合だとネパールに2-0で負けてしまったり、2021年に日本が10-0で下したミャンマーに0-0で引き分けているという感じだ。

台湾人自身、台湾代表がワールドカップ予選を戦っている事すら知らない人が多く、日本代表戦と台湾代表戦が同日に異なる場所で行われる場合、台湾人自身、日本代表のほうにテレビのチャンネルを向けると断言できる。国民が”無関心”なほどに弱いのだ。しかしこれは前述した金銭問題が根本にある。

最後のフロンティア台湾サッカー界

写真:習い事として少年サッカーも多い@台中にて

アジアの先進国で、経済力があり人口2357万人(実にベルギーの2倍の人口)もあるにも関わらず唯一サッカーが未発展である台湾はサッカー界において最後のフロンティアだと言える。台湾人サッカー選手も高身長が多くフィジカルも技術も申し分ないと台湾サッカーリーグ経験者は口を揃えて言う。

台湾サッカーの問題は山積みではあるが、発展の土台である経済力はあるので、日本から知名度の高い選手を獲得するなど、何か大きなひと押しが飛躍できる可能性が高い。それには企業や政府など大きな投資を待たなければならない。

条件が揃えれば数年後にはJリーグやACLで台湾人選手を見れるかもしれない。

(文: 台湾通信編集部 佐藤)

この記事を書いた人
sato kiyo

高雄出身の台湾人通訳&翻訳者。理系大学卒。2016年来日後、東京在住。IT系の通訳を得意とする。台湾通信編集長として奮闘中。

暮らし
台湾通信 – 台湾の情報メディア